* ベルちゃん of 幸せのしっぽのために ~免疫介在性溶血性貧血に負けない!~


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ベルちゃん
ミニチュアダックスフント

生年月日
2002年7月12日生まれ
女の子、避妊済み
発症
2008年9月
病気に気付いたきっかけ
毎年、8月後半~9月中は夏バテのようなクーラーバテがあり
この年も例年通りバテ気味な様子だったが
それにしては食欲も大きく減り、みるみる体重も落ちるので
「もしかして貧血かなぁ~」と思い上口をめくってみたら、歯茎が真っ白だった。
病気になってからの、主な症状
・食欲がなくなる
・元気がなくなり、よく吠える子なのに吠えなくなった
・体を持ち上げるのも重そうで、横たわっている事が増えた
使ったお薬と その副作用
プレドニゾロン (副作用) お水をよく飲むようになる。重度の肝障害となった。
アトピカ    (副作用) 肌が以上にカサカサになり、びっしりなフケだらけになった。
バイトリル*1
ラフセジン*2
ゴクミシン*3
プロヘパゾン*4
シメチラン*2
ペットチニック*5
行った治療・処置
病気発覚日の翌日、輸血を行った。
病気発覚日にはヘマトクリット値は16%だったが、輸血後23%となった。
だが、みるみる落ちていき、1週間後また16%となる。
その間、夜中に吐血し夜間の病院へ急いで駆けつけるも、
「大量の薬を飲む為に、重度の胃炎になっている」との診断で
人間の胃薬でもある「ガスター」を点滴してもらう。
そして再び輸血。
輸血前のヘマトクリット値は16%だったが、輸血後31%となった。
だがまた落ちて行き、この時は2週間後に22%になっていた。
この時点で、骨髄穿刺を行う事にした。
本小動物医科学研究所・臨床検査部に診断をしていただき
非再生性の免疫介在性容血性貧血だと診断された。
(医科学研究所の診断内容)
骨髄は末梢血により希釈されていますが、骨髄の細胞成分は比較的多く採取されており
正形成以上の細胞充実度と考えられます。
ME比は正常範囲であり、骨髄球系および赤芽球系とも充分な数が観察されます。
巨核球系を含め、各系統の細胞には正常な分化過程が観察され、
白血病などを示唆する芽細胞の増加は認められません。
赤芽球系に関しては貧血に対し反応していますが
骨髄での最終産物である多染性赤血球には若干、乏しいように思われます。
犬種や経過を参考にすると、本犬種に好発する非再生性の免疫介在容血性貧血だと考えられます。
これらは多染性赤血球などに対する免疫介在性疾患と考えられていますが
明確な原因は分かっていません。
多くは回復に長期間かかり、本例も副作用などに注意し治療方針を決定する必要があります。
この結果を元に治療方針を固める事にした。
下がり止まらないヘマトクリット値から、3度目の輸血も視野にいれていたが
輸血も本人の体に負担がかかる事や、クロスマッチテストの結果次第だが
あと何度輸血が行えるか分からない状況も考え、ガンマガードを使用し
数値を下げ止まらせ、その間に投薬で数値を上げる方法を試した。
その方法は、薬の飲み方・飲み順、飲み時を正確に計って飲ませる方法だった。
その効果があり、ガンマガード使用からヘマトクリット値が下がる事はなく
少しずつだが、上昇するようになった。
病気発覚から1年3ヶ月経過した頃、ずっと飲んできたプレドニゾロンを中止する事となった。
そもそもプレドニゾロンは、ベルには効果がない事が最初の段階で判明していたが
中止する不安と、1度飲み始めたら徐々にではないと止めてはいけない薬である事で
1年3ヶ月使用していた。
中止した事でのメリットはたくさんあり
まずこの薬を飲んでいた事でみるみる体重が増えてしまったが、徐々に減少。
肝障害もなくなった。
今、現在
病気発覚から1年7ヶ月、3週間ごとの血液検査はあるものの
毎回ほぼ同じヘマトクリット値であり、安定期だと診断された。
アトピカは生きている限り、一生服用・お散歩の徹底禁止を守りさえすれば
この病気で亡くなる事はないとの診断。
日々、とても元気に暮らしています。
血液検査の詳細
ヘマトクリット値
病気発覚時 16%
1回目輸血後 23%
2回目の輸血後 31%
ガンマガード使用時 23%
現在 48%
1年7ヶ月 経過を追ってのヘマトクリット値
16%>15%>輸血>23%>22%>19%>17%>16%>輸血>31%>30%>
26%>30%>28%>26%>25%>22%>24%>23%>21%>23%>ガンマガード>
21%>22%>24%>25%>28%>30%>27%>25%>27%>24%>25%>26%>
29%>32%>35%>36%>35%>37%>38%>41%>40%>44%>42%>44%>
43%>42%>44%>43%>プレドニゾロン中止>48%>47%>48%>
47%>50%>47%>50%>49%>48%>47%>48%←今、現在。
その他
この病気は重度の貧血である事から、移動するのも本人には負担らしいので
酸素ボトルを持って移動するように獣医さんから言われました。
あと飲み水も、酸素入りのお水があるのでそれも効果的だと言われました。
メッセージ
この病気は、難病である事は確かですが、誰でもなる可能性のある病気です。
ですが、残念ながらあまり知られていない病気でもあり
獣医さんの治療方法などでも、かなりその後に影響する病気だと思います。
この病気になり病院にかかる子は、大抵の子が悲しい結末になる事から
長期に渡り通院する子が少なく、獣医さん達も経過を追う事が出来ず
情報も少ない病気である事も否定できません。
治療を頑張れば、確実に完治するのか…と言われれば、そうでもない病気であり
更には治療には資金がかかる事も確かです。
うちのベルの場合であっても、月々に血液検査と日々の薬代で5万円はかかっています。
これが生きている限り、ベルの場合は一生なので確かに大変です。
この病気にならない…それが1番だと思いますが
なる原因が判明していない以上、防ぎようもないのが現実です。
考え方はさまざまだと思いますが、この病気以外でも必要になる場合があるかもしれませんから
出来れば、ドナー犬のいる病院を知っておく事が大切だと思います。
とても怖い・堅苦しいお話になってしまいましたが
うちのベルのように、明るい結果に繋がる事もあります。
中には、お薬さえも飲まずして暮らしていける子もいます。
なので、出来れば頑張る…というより
その時・その時にその子に出来る事を探して、それをやってあげて下さい。
頑張って…そう言わなくても、確実にその子は頑張っていると思いますから♪
ベルちゃんのブログ


2010年6月現在



*1 バイトリル:犬猫の尿路感染症を治療する薬。幅広い細菌に優れた殺菌力を発揮する
*2 ラフセジン・シメチラン:胃液の分泌を抑制。ペプシン分泌抑制作用もあると言われている
*3 ゴクミシン:肝臓からの胆汁分泌を促進して胆汁の量を増す事により、胆のう内の胆汁の流れをよくする利胆剤。胆のうから腸管への胆汁の流出量が増すので、一部の肝硬変における肝機能の改善のほか、腸管での消化作用も促進される
*4 プロヘパゾン:グルタチオンの肝臓での酸化ダメージを防ぎ、正常なレベルの維持を促すS-アデノシルメチオン(SAMe)を主成分とする、動物用サプリメント
*5 ペットチニック:犬猫用の鉄・銅・ビタミンB群をバランスよく補給できるリキッドタイプのビタミン、ミネラルトリート
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