お薬・治療・検査について of 幸せのしっぽのために ~免疫介在性溶血性貧血に負けない!~



お薬・治療について

お薬


治療によく使われているお薬について

プレドニゾン


・ステロイド

炎症をしずめたり、免疫系をおさえる作用があります。
炎症性の病気・免疫系の病気・アレルギー性の病気などに広く使用されています。
初期治療のほとんどに使用されます。
また長期に亘って使用される為、副作用に注意する必要があります。
副作用:のどの渇き・食欲増加・吐き気・下痢・浅速呼吸・不穏状態・まれに胃潰瘍
    長期間の使用では、脱毛・筋肉の衰え・肝臓障害・行動の変化など

免疫抑制剤


イムラン・アザニン(アザチオプリン)

高ぶった免疫の働きを抑制する免疫抑制薬です。
免疫を担当するリンパ球の増殖を強力におさえる作用があります。
効果が高い反面、いろいろな副作用がでやすいお薬です。
またすぐに起こる副作用ではありませんが、将来的に白血病・リンパ腫・皮膚ガンなどの
悪性腫瘍の発現リスクが少し高まる可能性があります。
この薬の使用中は、肝機能(GOT・GPT)のチェックが必要です。
副作用:感染症・骨髄抑制に伴う血液障害と肝障害・感染症・皮下出血など出血傾向・発熱
    のどの痛み・皮膚の発赤や水ぶくれ・皮膚や白目が黄色くなる・食欲不振・嘔吐・脱毛
    口内炎・舌炎・関節痛・筋肉痛・膵炎


アトピカ(シクロスポリン)

強力な免疫抑制剤。
皮膚病のお薬として使われていましたが、様々な自己免疫疾患に対処する事が証明されてから
使用されるようになりました。
効果が出始めるまで、数週間~一ヶ月前後かかる事があります。
空腹時の服用をお勧めします。
副作用である嘔吐を抑える方法として、一旦凍らせ、凍ったまま与えると言う方法があります。
凍らせる事により、嘔吐要因の成分(起発剤)の悪さを抑えるそうで
品質や効き目には、全く影響がないそうです。
副作用:感染症・下痢・嘔吐などの胃腸障害

ステロイド+シクロスポリンに反応なかった子にアザチオプリンを併用したら
貧血が改善された症例がいくつかあったのでこの方法を有効とする。
そう書かれた文献もありました。



アラバ錠(レフルノミド)

抗リウマチ薬です。
体の免疫機能の異常を修正する作用があります。
免疫系の細胞だけでなく、他の細胞にも影響が及びます。
その為、肺障害・肝障害・血液障害など副作用がでやすいのが欠点です。
副作用:下痢・嘔吐・脱毛・発疹・高血圧・発熱・腹痛・肺炎

・プログラフ (タクロリムス )

高ぶった免疫の働きを抑制する強力な免疫抑制薬です。
免疫を担当するリンパ球の働きを強力に抑制する作用があります。
免疫系以外の骨髄抑制作用は弱く、それにもとづく副作用は少ないです。
またすぐに起こる副作用ではありませんが、将来的に白血病・リンパ腫・皮膚ガンなどの
悪性腫瘍の発現リスクが少し高まる可能性があります。
シクロスポリンとの併用は禁止されています。
副作用:腎障害・高血糖・高血圧・ふるえ・頭痛・ほてり・吐き気・心筋障害・血液障害・神経系障害・感染症・心不全

・セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル)

高ぶった免疫の働きを抑制する免疫抑制薬です。
免疫を担当するリンパ球の増殖を強力におさえる作用があります。
飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり副作用がでやすくなります。
逆に効果が弱くなってしまうこともあります。
飲み合わせの悪い薬:生ワクチン
飲み合わせに注意:他の免疫抑制薬(イムラン・ブレディニン・ネオーラル・プログラフ等)
             イオン交換樹脂薬(クエストラン・コレバイン・フォスブロック等)
             胃腸薬(マグネシウム・アルミニウム含有制酸薬)
             胃酸分泌抑制薬(タケプロン等)・シプロフロキサシン(シプロキサン)
             アモキシシリン・クラブラン酸(オーグメンチン)・リファンピシン(リファジン)
            抗ウイルス薬(ゾビラックス・バルトレックス等)・不活化ワクチンなど。
効果が高い反面、いろいろな副作用がでやすいです。
またすぐに起こる副作用ではありませんが、将来的に白血病やリンパ・、皮膚がんなどの
悪性腫瘍の発現リスクが少し高まる可能性があります。
副作用:骨髄抑制にともなう血液障害・消化管出血・血栓症・各種の感染症・皮下出血など出血傾向
発熱やのどの痛み・皮膚の発赤や水ぶくれ・下血・下痢・食欲不振・吐き気・嘔吐・脱毛・口内炎・発疹


治療


パルス療法


ステロイドの短期集中投与の事。
ステロイドの持つ炎症を抑える効果を利用した治療法で
短期間に大量のステロイド剤を投与することによって、危険な状態からの緊急脱出をはかるという目的があります。
通常ステロイドパルス療法では、メチルプレドニンをゆっくりと3日間点滴投与し
治療効果をみながら1~3週間ごとに繰り返す方法が用いられる様です。
一般的にメチルプレドニゾンが使われるのは、電解質作用が少ないステロイドである事が理由です。


抗がん剤治療(シクロフォスファミド)


免疫系の細胞に対しても抑制的に作用します。
しかし最近の調査では、致死率がupするとも言われています。
副作用:嘔吐・発疹・脱毛・骨髄抑制に伴う血液障害・発熱・のどの痛み・歯茎出血・皮下出血・出血性膀胱炎

抗がん剤が処方される目的は副作用である免疫機能の低下(暴走する免疫を抑える為)と
増える白血球を減少させる為です。


ガンマガード


ヒトの血液(血漿)から精製したガンマガード(乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン)には
種々の抗体が含まれている事から、それらが低下した時の補充の目的に
炎症反応・自己免疫反応を抑える時に使用されます。
初期の治療に効果あり。
効果は30日間持続する。
ただし、ガンマガード自体人から作られており、犬にとっては「異種タンパク」なので
上記期間よりは、効果が短くなる事が予想される。
即効性あり、早い子だと3日以内に効果が現れる。
副作用として、アナフィラキシー反応。
現在は八割のワンコに有効であると言われていますが、かなり高価なお薬です。
また、一度の投薬で抗体が出来てしまうため、二度は使えないと書かれたサイトも見かけますが
複数回、投薬されている方もいらっしゃいます。

脾臓摘出


脾臓・・・血液の貯留・濾過・免疫・造血の大きな働きをつかさどる臓器。全摘出しても生命に別状がない臓器です。

IMHAにおいて脾臓にて赤血球の破壊が進み、脾臓の腫大が見られる事がある場合
脾臓を摘出すれば貧血が改善される事があります。
ただし、再生像のない子には摘出は向きません。
また、重度の血色素血症や自己擬集が見られるもの、血小板減少症を伴ったものは予後が悪くなります。


検査・処置について


クームス検査


赤血球の表面に付着した抗原の存在により、温度によって凝集するかを調べる検査です。
本来正常な赤血球の表面には何も付着しておらずツルツルの為、凝集することはありません。
免疫介在性溶血性貧血では、陽性反応が出ます。

骨髄穿刺

骨髄を穿刺して血液を採取し、造血能力や血液の成熟度、異常細胞の有無などをみる検査です。


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